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法人化するべきか迷っている個人事業主の方、又は法人化を前向きに検討中の個人事業主の方に向けて、法人化にまつわる情報を紹介するサイトです。 お問い合わせ:sole_proprietors@outlook.jp
個人事業主として仕事をしても、会社として仕事をしても、仕事の完成度そのものに差があるわけではなく、単に呼び方が変わるだけといえるかもしれません。しかし対外的、あるいは社会的には、異なる取り扱いを受けることになります。個人と会社とでは、税務や法務面において服すべき規律も異なり、負うべき責任も異なります。企業が新規に取引を開始するためには、法務部や審査部において信用調査をする手順が定められているものであり、個人事業主にはハードルが高くなっている場合が少なくないのです。つまり法人化によって、対外的・社会的な信用が増す場合もあるのです。
全くの見ず知らずながら取引を開始しようという場合に、相手を調査する手法としては「帝国データバンク」などで相手の財務状況を調べ、資産の価値や債務額など一定の項目の数字に着目するということが一般的です。株式会社であれば、少なくとも決算期ごとに定められた財務関係書類を作成して確定申告を行っているでしょうし、各社の公告をする方法に従って貸借対照表などを公開しなければならないことになっています。最近であれば自社のホームページ上に積極的に情報公開するなど、ネット上で簡単に見ることができる場合も多いのです。しかしそもそも個人事業主であれば、そのような書類を入手するのは困難です。個人であれば、会社の事業資金と私的な資金との区別が曖昧であることが多く、ますます個人事業主としての財務状況を調査することを困難にしています。
もっとも株式会社化することが、一昔前であれば一種のステータスであった背景には、資本金が1000万円以上であり、設立時に出資者である発起人に7人以上を集めなければならなかったり、会社経営にあたって取締役を3人以上定めなければならないなど、そう簡単には作ることができなかったという事情があります。しかし今や資本金は1円あればよく、また発起人も役員も1人からでも設立できるというように、手軽に株式会社を設立ができるよう法改正されました。たとえ社長以外に社員のいない一人会社であったとしても、堂々と名刺に株式会社の代表取締役社長と記すことができるのです。それでも会社法などによって厳しい規律の下に置かれるということなどから、必然的に信用力は高まります。
社長業は、会社の資金繰りのために奔走することといっても過言ではありません。事業を運営する上で、資金の流れを掴んでショートしないよう細心の注意が必要です。そして実際に融資や出資を募る際にも、個人事業主ではなく株式会社であることを強く求められることになるのが通常なのです。
事業を拡大させて、ゆくゆくは法人化したいと考える個人事業主は少なくありません。しかし、どのタイミングで法人化に踏み切るべきかは慎重に考える必要があります。まず進めたいのが、個人事業主として仕事をしていくうちに売上総利益が安定してきたときです。たとえば所得が800万円を超える状態が続くなら、法人化した場合と比べると支払う税金が高くなってしまうのです。他には、事業とクライアントを新規開拓したいときも法人化を検討してみましょう。
個人事業主から法人化するという場合、将来の融資や出資を想定して、株式会社を設立することが多いようです。株式会社の設立には、定款を作成して、公証人の認証を受け、出資金を全額払い込んで、法務局に設立の登記申請をしなければなりません。会社実印は、設立登記の申請と併せて、法務局に届け出ます。そして税務署に法人設立の届出をする他、都道府県税事務所や市町村役場にも届出が必要であり、また社会保険のための各種届出も必要です。
個人事業主が法人化すれば、税務や法務面においてより厳しい規制を受けることになります。それに付随して一定の財務関係書類を公開するなど、事業の透明性を求められるのであり、これが取引先の信用調査にも役立てられています。株式会社の設立が資本金1円からでも可能になっていることから、一概には判断できませんが、それでも融資や出資を受ける場合には株式会社であることが条件であるなど、法人化によって信用度が高まることになります。
個人事業主が法人化すると、経費として計上できる範囲が広がります。例えば個人事業主でも、一定の家族を従業員として雇い、適正と認められる範囲において支払う給与を経費として計上することはできますが、法人化すればその他にも、代表者の給与や、役員報酬も、同じく経費として計上することができます。また経営者の自宅を会社の所有としたり、会社が家主から直接借り受けることによって、社宅にすることも可能であり、経営者が支払う家賃との差額を経費に計上することができます。
一般的に大手企業が個人事業主を直接の取引相手とするのは、稀であるといわれています。これは個人事業主の信用度が低いということに他なりませんが、しかし株式会社という体裁を採ったからといって、それがそのまま信用力の強化につながるのかどうかは、ケースバイケースであり、結局のところクライアント企業内の法務部や審査部の定める審査基準次第のようです。業務内容によっては、特定のスキルや知識を持つことが重要である場合もあります。
社会的信用に乏しい個人事業主にとって、クレジットカードの審査に通るのも、簡単なことではありません。会社勤めであっても最近の法改正などにより、収入などの審査は厳しくなっていますが、それでも比較的審査に通りやすいでしょう。そのため個人事業主になる前に、もしもの時の備えとして1枚作っておくと便利です。仮に個人事業主になってから、クレジットカードを作るのであれば、楽天カードやANAカードは審査が通りやすいといわれています。