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法人化するべきか迷っている個人事業主の方、又は法人化を前向きに検討中の個人事業主の方に向けて、法人化にまつわる情報を紹介するサイトです。 お問い合わせ:sole_proprietors@outlook.jp
個人事業主が法人化するタイミングとして、節税効果が高まる時を選ぶと良いでしょう。これは個人事業主が所得税を支払い、法人であれば法人税を支払うというように両者の課税体系が異なり、課税所得が一定以上になると実質的には法人税の方が安くなることによるものです。課税体系は国の政策にも密接にかかわっていて頻繁に改正が行われるため、専門家でなければ中々判断が難しい面があります。しかしおおよそのところを理解しておくと、役立ちます。
例えば個人の所得に対する所得税は、課税所得が上がるにつれて累進的に6段階で税率が上がるように設定されていますが、その各段階に応じて所得控除額が定まっています。一方の法人に対する法人税の税率は、累進的に3段階で上がる仕組みとなっています。個人にせよ法人にせよ、住民税を支払わなければなりませんが、その課税方式もそれぞれで異なります。
そのため一概に比較は出来ないのですが、総合的に判断して課税所得900万円以上というのが、法人化をしてメリットのある目安とされています。つまり課税所得にして900万円を超える収入を得ているのではない限り、法人化するメリットに乏しいということになります。もっともこれは課税所得による比較であるため、実際のところ展開する事業によって法人化のタイミングは異なるでしょう。例えば大きな設備投資を必要としない事業なのか、それとも初期投資が一定額以上必要な事業なのか、によっても事情は変わります。
節税効果を考える場合に、法人化によって大きく差が生じるのが人件費です。個人事業主であっても、従業員として家族を雇う場合の給与を、あらかじめ税務署に届け出ることによって経費として計上できます。しかしあくまで専従を求められるため、他所で給与などの所得を得ている場合には対象外となってしまいます。
しかし法人化していれば、家族を従業員として雇う給与のほかに、自分自身に対して支払う給与も、適正なものと認められる範囲においては全額経費とし計上することができます。
更に株式会社であれば、取締役や監査役など、会社の機関設計に応じて役員に就任している者に対しては、たとえ家族であっても役員報酬を支払うことができ、これも適正なものと認められる範囲であれば全額経費として計上できることになるのです。役員は常勤である必要はなく、公務員などではない限り、他所からの収入があっても問題ありません。もっとも課税所得を出来るだけ小さくしようと、役員報酬を会社の利益に応じて支払うことにする場合には、より厳しい制約が課されることになるため注意が必要です。
事業を拡大させて、ゆくゆくは法人化したいと考える個人事業主は少なくありません。しかし、どのタイミングで法人化に踏み切るべきかは慎重に考える必要があります。まず進めたいのが、個人事業主として仕事をしていくうちに売上総利益が安定してきたときです。たとえば所得が800万円を超える状態が続くなら、法人化した場合と比べると支払う税金が高くなってしまうのです。他には、事業とクライアントを新規開拓したいときも法人化を検討してみましょう。
個人事業主から法人化するという場合、将来の融資や出資を想定して、株式会社を設立することが多いようです。株式会社の設立には、定款を作成して、公証人の認証を受け、出資金を全額払い込んで、法務局に設立の登記申請をしなければなりません。会社実印は、設立登記の申請と併せて、法務局に届け出ます。そして税務署に法人設立の届出をする他、都道府県税事務所や市町村役場にも届出が必要であり、また社会保険のための各種届出も必要です。
個人事業主が法人化すれば、税務や法務面においてより厳しい規制を受けることになります。それに付随して一定の財務関係書類を公開するなど、事業の透明性を求められるのであり、これが取引先の信用調査にも役立てられています。株式会社の設立が資本金1円からでも可能になっていることから、一概には判断できませんが、それでも融資や出資を受ける場合には株式会社であることが条件であるなど、法人化によって信用度が高まることになります。
個人事業主が法人化すると、経費として計上できる範囲が広がります。例えば個人事業主でも、一定の家族を従業員として雇い、適正と認められる範囲において支払う給与を経費として計上することはできますが、法人化すればその他にも、代表者の給与や、役員報酬も、同じく経費として計上することができます。また経営者の自宅を会社の所有としたり、会社が家主から直接借り受けることによって、社宅にすることも可能であり、経営者が支払う家賃との差額を経費に計上することができます。
一般的に大手企業が個人事業主を直接の取引相手とするのは、稀であるといわれています。これは個人事業主の信用度が低いということに他なりませんが、しかし株式会社という体裁を採ったからといって、それがそのまま信用力の強化につながるのかどうかは、ケースバイケースであり、結局のところクライアント企業内の法務部や審査部の定める審査基準次第のようです。業務内容によっては、特定のスキルや知識を持つことが重要である場合もあります。
社会的信用に乏しい個人事業主にとって、クレジットカードの審査に通るのも、簡単なことではありません。会社勤めであっても最近の法改正などにより、収入などの審査は厳しくなっていますが、それでも比較的審査に通りやすいでしょう。そのため個人事業主になる前に、もしもの時の備えとして1枚作っておくと便利です。仮に個人事業主になってから、クレジットカードを作るのであれば、楽天カードやANAカードは審査が通りやすいといわれています。